脳の3つのモードを意識的に使いこなす

脳には3つの活動モードがある

ついボーっとしてしまったり、空想にふけってしまい目の前のことに集中できなかったりすることはないだろうか。

その原因は脳のモードの切り替えが出来ていない可能性がある。

最新の研究で、脳には3つの活動モードがあることが分かっている。

  • デフォルトモード・ネットワーク(DMN)→ボーっと空想にふけるような状態
  • セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)→1つの事に集中している状態
  • サリエンス・ネットワーク(SN)→2つのモードを意識的に切り替える時の状態

要するに以下の通りとなる

  • DMN=雑念
  • CEN=集中
  • SN=切り替え

例えば仕事中に、ふと「今日のご飯は何にしようかなぁ」と考えたとする。これはDMNが活動している状態だ。

そこで「いかんいかん、目の前の作業に集中しないと」と我に返り、仕事に取組み始める。これはSNを働かしてCENに切り替えたことになる。

因みにスマホでSNSを見たり、テレビを見ている時は受け身でボーっと見ている事が多いためDMNが働いていると言われている。

DMNとCENそれぞれの特徴

DMNとCEN、私達にとってどちらが「良い状態」と言えるだろうか。

答えは「基本的にCENの状態が良い」と言える。その理由を下記にて解説していく。

DMNは「脳の浪費家」

DMNが活動している時は脳のエネルギーの70%~80%も消費していると言われている。反対にCEN活動時は脳のエネルギーの5%程度しか活動していない。

とても意外ではあるが集中している時より、そうでない時の方が圧倒的に疲労が溜まってしまうのだ。

よく、休日に家でだらだらしていると疲れが取れた気がしないのも、DMNによる疲労が蓄積してしまっている可能性があるためである。

DMNは「ストレス増加の原因」

楽しい空想事にふけるならまだいいが、基本的に人間の雑念は「未来の心配事」や「過去の後悔」などがほとんどだ。

その理由は遠い昔、生き残るためには常に最悪の状況を想定する必要があったからと言われている。いつ肉食獣に襲われるか分からないような環境では、不安や後悔を記憶に焼き付けることこそが生き残るための道だったのだろう。

しかし現代ではそれが「ストレス」という大敵になって襲ってくる。

肉食獣に襲われるという不安なら、ひたすら対策するだけだが、現在の不安の原因は多種多様で対策が取れない場合が多い。

こうして永遠とDMNだけを働かしてストレスを増大させ続けてしまう。

しかし現在の不安のほとんどが直接命に関わるものではないことがほとんどだ。

このDMNの「不安増大機能」は現代に生きる我々にとって邪魔者でしかないだろう。

CENはストレスを感じにくくさせる

DMNとは反対にCENは扁桃体(=ストレスを感じる脳の箇所)の活動を縮小させる効果があると言われている。

扁桃体はストレスだけでなく様々な感情を発露する場所であるため、活動を抑えることで冷静な判断が取れるようになる。

よく怒りっぽい人や、すぐに感情的になる人、少しの事で精神的に大きなダメージを受けてしまう人などは扁桃体の活動レベルが非常に高くなってしまっている。

これらは本人のせいなのではなく「脳の機能的な」問題なのだ。

CENを意識的に働かせるようになれば、扁桃体の活動を抑え、「冷静で穏やかな」行動がとれるようになる。

DMNは「閃きのもと」

DMNには悪いところばかりでなく、「アイデアを閃く」という一面も持っている。よくアーティストがシャワーを浴びている時に曲が閃くという話を聞くが、これは正にDMNが活動している証拠だろう。

また仕事で行き詰った時に、休憩を入れると打開策を閃くこともある。

たまには敢えて集中状態を切らすことで脳内を整理するといいだろう。

3つのモードを活かせるようになるには

では、どのようにすれば良いのか。

ここまで、脳のモードを解説してきたが、これらの知識を活かすにはどのようにすればいいのか。

以下に私の考えを解説していく。

①SNを鍛える

まず最初にするべき事はSNを鍛えることだ。

「鍛えられるの?」と思うかもしれないが、これは実際に可能である。

ではどのように鍛えれば良いのか。方法は非常に単純で「DMN」に切り替わったタイミングに気が付く練習をする事だ。

簡単に言うと頭の中に雑念が浮かんだ時に「あ、今雑念が浮かんだな」と気が付くようにする。これだけでOKだ。

この「あ、今雑念が浮かんだな」と気が付いたタイミングこそがSNが働いたタイミングである。

この方法は非常に単純で簡単そうだが、やってみると意外と難しい事に気が付くだろう。最初の方は雑念に囚われて中々SNを発動させることができない。

しかし段々と、すぐに「あ、また雑念」と気が付けるようになっていく。言うまでもないがこの練習は集中力を鍛えるにももってこいの方法となる。

②できるだけ、長い時間CEN状態でいられるようにする

次にできるだけ長い時間CEN状態でいられるようにする。これは普段の仕事や勉強でも訓練できるし、マインドフルネス瞑想などでもできる。

頭に雑念が浮かんだ瞬間に①「あ、雑念」とCNを働かせて、もう一度CEN状態に切り替える。

そうすることで段々と長く、簡単にCEN状態でい続ける事が可能になる。

③意識的にDMN状態に切り替える

長い間、目の前の作業に取り組んだら意識的にDMN状態にする。

「ついボーっとしてしまう」のではなく「敢えてボーっとする」という発想だ。この切り替えが上手くなると、特に仕事に行き詰った時などに効果を発揮する。

シャワーを浴びて曲を作る作曲家のように、DMNを利用して打開策を発想するのだ。

④疲れたら、外に出て「ただ歩く」

ずっと作業をしていると当然疲れてくる。この場合の疲れは「脳が飽きる」のと「体がこわばる」原因であることが多い。

しかしここでスマホを見てもDMNが働いてします。その結果、脳疲労が蓄積し体はこわばったままであり何も解決しない。

そこでお勧めなのが、外に出て「ただ歩く」ということだ。

この時に外の空気を感じる事に集中する。雨の日は雨の匂いを意識し、寒い日は冷気が肌を突き刺す感覚を意識する。

そうすることでSENの状態で「気分転換」と「体のリラックス」両方の効果を得る事ができる。

また運動することで脳に血が回り、集中力が復活するという最強の方法である。

一度やれば確実に効果が実感できると思うのでぜひ試してみてほしい。

脳の機能を活用して日々を送る

本記事では脳の3つのモードを紹介した。

本記事を読めば、ストレスを感じるのも、目の前の事に集中できないのもDMN状態であるからという事が分かるだろう。

少し前までは、「ストレスに負けてしまうのは精神力が弱いから」「集中できないのはやる気が足りないから」と言われていた。

しかし現在は科学の進歩によってそれらは全て脳の機能的な問題であることが分かっている。また、そのための具体的な解決方法も提示されている。

私はこの事実に気が付いた時「なんて良い時代に生まれたんだろう」と感じた。

方法があるのだから、ストレスに悩む必要も自分を卑下する必要もないのだ。

脳の3つのモードを自在に操れるように日々精進することこそ、今の私達に必要な修行なのではないだろうか。

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